更新日 : 2013-10-12 13:58:28

小さなものたちが集まった不思議な集合体~バイオフィルム~

なにがすごいの?

バイオフィルムの拡大画像
(C) AJC1
細菌は川や海などの水がある環境では岩の表面や動物の肌など様々な表面に接着します。
その細菌がネバネバした物質を分泌し、小さなコロニー(集団)が形成されます。
さらにそのコロニーは、違う種類の菌類や藻類、アメーバーなどの原生動物から金属の破片や腐食物などを含み大きな形になっていき「バイオフィルム」と呼ばれます。

たとえば、河原の石や台所のぬめりもバイオフィルムなのです。
何億ものバイオフィルムが凝集し数平方メートルになることもあり、環境によってその構造や内部の構成物は大きく異なります。
バイオフィルム内には栄養分や少ない酸素を効率よく運搬するシステムが出来ています。

バイオフィルムの機能はその場所にもよりますが、有機物を分解しバイオフィルム内部の菌を守るために抗菌性の物質を出すことが知られています。
さらに驚くべきことは、バイオフィルムでは有害な重金属をバイオフィルムの栄養分に変えてしまう能力があることです。

どうやって役立てるの?

河川の自浄作用に役立てることができるかもしれません。
また、バイオフィルムは粘り気があり外側が保護された構造体なので、毒性がある物質の影響を受けずに廃棄物や廃液の分解をすることができるかもしれません。

どんな研究をしているの?

例えば小川では、岩の表面に接着し形成されたバイオフィルムは鉄などのミネラル(鉱物)を蓄積し、鉛を吸収することが分かりました。
鉛が入っている水の中でバイオフィルムを観察すると、鉄の水酸化物(さびの正体)がある場合、バイオフィルム内での鉛の吸着が5倍まで増えることが分かりました。

一方私たちの口の中で、バイオフィルムは虫歯や口臭病の原因となるため、どのようにバイオフィルムを除去するかという医学的な研究も行われてきました。
2007年にはヨーロッパにおけるバイオフィルム研究を統合する組織が誕生し、その実験方法や各関連分野の統合が取り組まれています。
バイオフィルム内の微生物の複雑な相互関係について今後の解明が期待されます。

どんな技術開発ができるの?

廃水を燃料とするバイオフィルムを利用した微生物燃料電池の開発が期待されます。
微生物燃料電池は、細菌が有機物を分解する際に自然に発生する電子を金属に渡すという性質を利用して電流に変換します。
廃水処理と同時に電力を生産できる発電施設は、牧場や農場などで役立つでしょう。
宇宙飛行士の排泄物から発電ができる技術ができるかもしれません。

【参考】
・Europian Research Headlines:Biofilms, friend or for?
・Warren, J. W., Catheter-associated urinary tract infections, Int J Antimicrob Agents 17, 299–303. 2001
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