更新日 : 2013-05-25 07:49:22

タマムシの煙センサー

なにがすごいの?

タマムシには煙のにおいを嗅ぐことができる触角があります。
タマムシの仲間には山火事の赤外線を遠くから感知する種類もいますが(山火事のときに飛んでくる甲虫の赤外線受容器)、煙に対する受容器は触覚にあり二つの情報は脳で統合されて山火事の場所へ辿りつくのです。
タマムシの触覚は山火事によって燃えた樹木の煙に含まれる物質を、高感度で感知できる嗅覚をもっているのです。

さらにオーストラリアにすむタマムシは、ユーカリの木からでる煙の成分を感知するように進化していることも分かりました。

どうやって役立てるの?

煙のセンサーと赤外線センサーの情報を一つにまとめた火災警報システムの開発が期待できます。

どんな研究をしているの?

タマムシの触覚が、アカマツを燃やして発生させた揮発性物質(蒸発しやすい液体)に高い感受性を示すことが実験によりわかりました。
木材の20~30%を占めるリグニンという物質の不完全な燃焼によって放出される山火事に特徴的な物質に敏感で、数ppb(10億分の1)という濃度単位で探知できることがわかりました。
触覚の感度の実験結果から、直径30cmの松の木1本が高さ2m、樹皮から深さ1cmまで焼けた場合に、弱風下で1時間に7gのこの揮発性物質を放出した場合、1km以上離れた場所で、タマムシは火事を感知できるという予測がされました。

どんな技術開発ができるの?

山火事で出される煙を高感度で感知できるセンサーがあれば、早期に山火事の発生を発見できる警報システムを開発できるかもしれません。

【参考】
・S. Schmitz, et al., Insect antenna as a smoke detector. Nature, 398, 298-299.
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