更新日 : 2014-02-25 07:10:25

ミルクで病気知らずのワラビーの赤ちゃん

なにがすごいの?

オーストラリアに生息するワラビーは、カンガルーと同じ有袋類(ゆうたいるい)で、お腹にある袋(育児のう)で赤ちゃんを育てます。

赤ちゃんは小豆くらいの大きさしかない超未熟児として生まれ、前足の力だけを使って母親のお腹にある袋まで這い上がってたどり着ききます。

生まれたての赤ちゃんには病気に対する免疫力(病気に勝つ力)は備わっていませんが、母親のミルクに含まれる多数の菌の増殖を阻止する抗菌性の化学物質によって守られ、健康で居ることができます。

ワラビーの赤ちゃんは、母親の袋とミルクに守られながら半年間生活をし、成長を遂げると、やっと袋の外へ出てきます。お母さんワラビーのミルクに含まれる抗菌性の化学物質は、生まれたばかりの子供を病原菌の感染から守るのです。

どうやって役立てるの?

ワラビーのミルクに含まれる化学物質は、病気の原因となる細菌などの微生物を殺すことができます。

これを利用して、人間の病気も治せるかもしれません。

どんな研究をしているの?

ワラビーのミルクの中に、細菌の発育を阻止する抗生物質として使われているペニシリンの100倍強力な抗菌性タンパク質が発見されました。

AGG01と名付けられたこの抗菌性タンパク質は、黄色ブドウ球菌や大腸菌など約20種の細菌に対して抗菌力があることがわかりました。
AGG01は細菌の細胞膜の主成分であるリン酸脂質(phosphatidylglycerol)と結合して細胞膜に挿入し破壊します。
細胞膜の機能を失った細菌は、細胞内の成分が外に漏れ出してしまい死滅します。

また、免疫力の弱いワラビーの赤ちゃんを使ってAGG01の効力が調べられました。その結果、AGG01が細菌を99%死滅させることがわかりました。

どんな技術開発ができるの?

抗生物質の菌に対する作用は、AGG01のように細菌を死滅させる「殺菌的」とペニシリンのように細菌の増殖を阻止する「静菌的」の2種類あります。

黄色ブドウ球菌を初めとする細菌は、ペニシリン系薬剤に対して耐性を獲得するため、抗生物質を飲んでも効かなくなることが現在深刻な問題になっています。

AGG01は細菌を全て死滅させるので、ペニシリン耐性菌を生まれさせない抗生物質として期待されます。

"Fighting superbugs with milk". NewScientist.com. 2006-04-20. (英語)
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