更新日 : 2013-10-12 13:59:58
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「自分の家」を持つカサガイ

なにがすごいの?

カサガイとはその名の通り笠のような貝殻をもつ巻き貝の一種で、潮間帯の岩場に住んでいます。
潮間帯とは海と陸の間のことで、1日のうちに陸上になったり海中になったりします。

カサガイには「自分の家」を岩場に構えている種類がいます。満潮で周りが海水で満たされているときにはカサガイは「家」から離れ、数10cm離れた場所まで藻やプランクトンを食べに歩きます。
殻の大きさは5cmほどですが、1分間で22cmもの速さで移動ができると言われています。
潮が引くと、カサガイは自分の家である岩の場所に戻ります。

カサガイにはアワビやアサリなどの二枚貝のようなフタがないので、岩場を自分の殻で削ってぴったりの穴をあけてくぼみを作り「自分の家」にしてしまい、くぼみにぴったりと張りつき体を日光から守り水分の蒸発も防いでいます。

カサガイは「自分の大きさにぴったりの家」を持つことで干潮時の水の少ない状況にも長時間耐えることができ、海の中で生きているタコや他の貝などの外敵が追ってくることのない潮間帯で安心して暮らすことができるのです。

どうやって役立てるの?

その形にぴったりのくぼみを作ることで、水分を保持し太陽から体を守るカサガイの戦略は水が少ない砂漠地帯の新しい住居デザインに役立てられるかもしれませんね。

どんな研究をしているの?

カサガイを海から実験室の水槽に移動しても、満潮のときにカサガイは藻類を食べ始め、引き潮のときには水槽の中の「新しい自分の家」に戻ることが分かりました。カサガイは海にいなくても体内時計を持っているようです。

またカサガイは自分の出している粘液により、「自分の家」に戻ることができると言われています。
一方、家をもたないカサガイの種類があることもわかりました。

どんな技術開発ができるの?

カサガイの中には自分の主食とする藻類だけを栽培する種類もいます。

彼らは他の種類の藻類を食べて取り除き、主食の藻類の日当たりまで考慮し、自分の粘液を肥料とするそうです。

バイオ燃料に有効な藻類を主食とするカサガイの種類を発見できれば、カサガイに藻類を大量に育ててもらうことができるかもしれませんね。

【参考】
潮間帯に生息するカサガイ類の防御行動の比較(PDFファイル)
十亀孝維, 大和田 正人, 金沢謙一
Science Journal of Kanagawa University, 20(01), 89-92, 2009
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