更新日 : 2013-09-11 06:26:07

一瞬で体の色を変えるコウイカ

なにがすごいの?

コウイカは海の中で、砂や岩場で暮らしています。
クジラやイルカなど、彼らの敵が近くに来た場合にはすっかり周りに溶け込むように体の色を変化させて身を守ります。
例えば茶色っぽい地味な色です。
なんとコウイカは産まれたときから、この一瞬で自分の体の色を変える力を持っています。

また大人になったコウイカは恋の相手探しにもこの力を使います。
私達がファッションを楽しむように、大人のコウイカも綺麗な色で海の中を散歩します。
それぞれのコウイカは、メタリックなグリーンやブルー、ゴールドやシルバーなど様々な色に見えます。

これらの色はコウイカの体の中にある、色の成分を持っている細胞や光によって色がでる細胞が作り出します。
コウイカの目からの信号が脳に伝わり、筋肉にある色素細胞と呼ばれる細胞の並び方が変わることにより、コウイカの体の色は一瞬にして変わるのです。

どうやって役立てるの?

コウイカの体の色は、少数の色素細胞の並び方を変えることで、多彩に変わります。

色素細胞のメカニズムを上手く使えば、大きなビルに取り付けるような看板を省エネルギーで鮮やかに作れるでしょう。
色素細胞を小さな点と考えてください。
その点を数種類、繰り返した並べ方(アレンジ)を変えることで看板にはきれいな色彩を創り出すことが出来ます。

どんな研究をしているの?

コウイカの色のパターンを決める脳の部位についての研究がされています。
この部位は、コウイカが卵からふ化し、小さなイカの形で海中へ出たときにはすでに十分に発達していることが分かりました。
また色を表す色素細胞は、コウイカの成長と共に種類が増えていき、大人になると派手な色の変化ができることも分かりました。

コウイカの体表を調べると、1辺が1ミリメートルの四角の中に200個以上の色素細胞が入っていました。
赤、黄、茶、黒、白、虹色(光によって色が変わる)の色素細胞の組み合わせで、多彩な色を作り出しています。

例えば、赤色細胞と黄色細胞を組み合わせるとオレンジ色に、また赤色細胞と虹色細胞の組み合わせでムラサキ色が作り出されます。

これらの色素細胞を、人工的に作り出すシステムの開発が行われています。

どんな技術開発ができるの?

人工的な色素細胞を作りだし、外からの刺激で色の制御ができれば新しいバイオディスプレイとしてパソコンのモニターなどに使えます。
光を出している現在のパソコンのモニターよりも、目の疲れを感じにくくなるでしょう。
またノートパソコンの電池の使用時間も大幅に長くなることが期待できます。

【参考】
JAIST Repository: モーター蛋白質で駆動するバイオディスプレイ

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