更新日 : 2013-07-17 08:01:42

太陽から逃げないサバンナのカエル

なにがすごいの?

アフリカのサバンナに生息しているカエルの仲間が、マダラクサガエルです。
サバンナには雨の多い季節(雨期)と太陽の照りつける季節(乾期)があります。

マダラクサガエルは、雨期と乾期では、私達が衣替えをするように自分の皮膚を取り変えることができるのです。
サバンナの乾期は太陽光が強く、草木に体を完全に隠すことも出来ません。
マダラクサガエルは雨期から乾期へと、また乾期から雨期へと自分自身の皮膚を変えることで厳しい環境に適応出来るように身を守っているのです。

どうやって役立てるの?

マダラクサガエルが乾期に太陽光を跳ね返し、サバンナの暑い気候で生き延びているシステムは、建物の屋根や外壁での表面温度の制御に役立てることができるかもしれません。

どんな研究をしているの?

アフリカのサバンナに生息する乾期のマダラクサガエル、雨期のマダラクサガエルの皮膚を顕微鏡で観察すると、雨期のマダラクサガエルの皮膚構造は、カエルやイモリのような両生類と同じ構造であることが分かりました。
乾期のマダラクサガエルの皮膚は、乾燥から守るため新しい薄い皮膚の層が形成されていました。
さらに詳しく調べると雨期と乾期の皮膚では、細胞の種類や配置も異なることが明らかになりました。

また乾期に出来る薄い皮膚の層には、虹色素胞という魚類、両生類、爬虫類や鳥類がもつ無色の細胞が、皮膚と水平に配置されて太陽光を反射することも分かりました。
虹色素胞はその名の通り、赤や黒、黄色といった単一な発色ではなく、見る角度によって虹色(玉虫色)に色が変化してみえる色素細胞です。
乾期には、この細胞の並べ方を肌表面で変化させることにより、雨期に比べて太陽光を跳ね返す力を増しているのです。

どんな技術開発ができるの?

マダラクサガエルが光の刺激に応じて虹色素胞の並べ方を変化させて、光の反射効率を制御しているシステムを技術応用できるようになれば、私達の日常生活において太陽電池の新しいデザインが可能になるかもしれません。
また強い日差しから、皮膚を守る新しい衣類の誕生も期待できます。

【参考】
・Linsenmair KE, et al., Unusual cell ultrastructure in ventral epidermis of the African reed frog Hyperolius viridiflavus, (Anura; Hyperoliidae), ANATOMY AND EMBRYOLOGY, 200(6), 607-614 1999
名前(必須) : メール :
タイトル(必須) :

※コメントの公開は承認制となっております。
※コメントを書き込んでも承認されるまでは表示されません。
※メールアドレスは管理者から直接メールがほしい場合に入力してください。入力しても表示されません。